袋田の滝のミヤマスカシユリ 7/8




 ミヤマスカシユリは海岸の岩場に生えるスカシユリの変異種です。分布は少なく、埼玉県武甲山の石灰岩地、茨城県奥久慈男体山、袋田の滝の岩壁に自生します。また岩手・宮城の石灰岩の岩山からも報告があります。
 武甲山は山の形が変わるほど石灰岩の採掘が行われ、自生地は立ち入り禁止、すでに採掘のため自生地は失われてしまったとも言われます。奥久慈男体山は急峻な岩山で、足場の悪い登山を強いられます。それとは裏腹、ここ袋田の滝は、日本三大瀑布に数えられることから観光地となっており、観瀑台から観察できます。
 出掛けたのは7月8日。袋田の滝は昔ながらの観光地、駐車場からは、たくさんのお土産屋さん、食堂を見ながら観瀑台へと歩きます。この日は食事をすれば駐車料無料の店に車を停めました。山草を販売する店もある通りを歩き300円の入場券を購入、ひんやり涼しいトンネルをしばらく進むと第一観瀑台、正面の滝は水流が乏しくガッカリでした。


 正面の滝は後回し、観瀑台の右側から振り返るように岩場を見上げると、オレンジ色の花を数株観察できました。すでに花を散らせているものもあり、出遅れたのを実感しながら、望遠レンズをセット、それでもここが最も近くで観察できる場所です。ミヤマスカシユリは岩場から30〜100㎝ほど宙に張り出し、また下垂して上向きの大きな花をつけています。スカシユリより花被片の隙間(すかし)は大きく先端は強く反り返り、葉は線形で細いのが特徴。トップの写真もここで撮ったものです。


観瀑台左側からはカワラナデシコが咲いてました。


エレベーターで第二観瀑台へ。滝を見下ろす位置です。秋の紅葉は素晴らしいと思われました。間近にヤマユリがいくつも咲き、芳香に包まれての眺めです。


ふと左のはるか上を見上げると、オレンジ色の点々を発見。下写真は600ミリ相当の望遠レンズで捉えた画面、さらにその下は画面右を大きくトリミングした画像です。

肉眼ではオレンジの点です。高倍率の双眼鏡、超望遠レンズが欲しいところですね

エレベーターを降り、帰路は吊り橋経由で駐車場へ。最初に第一観瀑台から撮影したミヤマスカシユリを反対側から再撮です。



滝からだいぶ離れ、駐車場が近づいてきた頃、対岸の岩壁にオレンジの点を発見。望遠レンズで覗くと、この日最長のミヤマスカシユリの見事な株が観察できました。1mはあるんじゃないかな?

岩壁にはイワヒバがそれこそ無限に群生。雨の日などは綺麗でしょうね


 マルバマンネングサ。NHK朝ドラ「らんまん」でも有名になった草です。牧野富太郎氏の標本を基にマキシモヴィッチ博士が新種として発表した植物です。学名はセダムマキノ。盛りは過ぎていましたが、ここでは岩壁や遊歩道のすぐ脇にたくさん咲いていました

来年は奥久慈男体山のミヤマスカシユリを撮りにいきたいですね。

 記・中村

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