野生らん探検隊2024 その3 コクラン・ヒトツボクロ

 コクラン 7/2


和名は黒蘭の意。黒紫の花色に由来。分布は関東から東海・山陽・九州以南の林内などに生える

コクランの分布は関東以南なので、私の住む北関東は北限に近く、めったに出会えないと思っていた。ところが10年ほど前の冬、隣県にある筑波山のケーブルカー麓の駅付近で偶然に見かけた。もしかしたら、栃木県央にも確実に自生しているかもしれないと、期待が高まった。

そんな思いが現実になったのは、5年ほど前になる。

住まいから車で15分ほどのところに個人的に見つけたホラシノブ自生のポイントがあった。ところがある年の大雨でその自生地は壊滅してホラシノブの姿は跡形もなくなってしまった。残念に思いながらも、わずかな胞子からの復活を願いつつ、常緑葉でわかりやすい冬に毎年1度は訪ねていた。5年前の冬も同じように訪ねたのだが、やはり新しい株を見つけることはできなかった。いつもなら、「今年もだめかー」と思い、その場を後にするのだが、この時ばかりは先に続く小道を登ってみることにした。そして見つけたのが写真の自生地である。おそらく開花期であれば、周辺の緑鮮やかなリョウメンシダに目を奪われて気づくことはなかったかもしれない。緑の少ない真冬だったことが幸いした。

見るからにコクランと思われたのだが、開花時期に行けたのは今年7月上旬である。10株弱ある中で花を咲かせていたのは数株であったが、5年越しで見ることのできた嬉しさで心が満たされたのはいうまでもない。


ヒトツボクロ 6/8

和名は一つボクロだが、ボクロの由来は不明とされる。分布は青森から九州まで。林下に生える

もう15年以上前になるのだが、近所の森にわからない小さな花があるという話で出かけることになった。場所はほぼ平らなヒノキの植林地。初めて見る花に見覚えはなく、写真を撮って家で調べることにした。運よく一枚葉というとてもわかりやすい特徴だったこともあり、ヒトツボクロという蘭だとすぐわかった。ただ後悔は、風で揺れていたので写真のピントが今ひとつだったこと。翌年も同じ時期を選んで出かけたが、やはり風の影響で残念な結果に。しつこく、翌年出かけてみると、今度はどうしたことかその場所に一株も見つけることができなかった。10年ぐらいを過ぎた今年、もしかしたらそろそろ復活したかもしれない考えて再訪してみた。着いてみると、一帯には伐採の重機が入ったようで表土がすべてが攪乱され、無残な自生地へと変貌しているではないか。ヒトツボクロは縁のなかった蘭、とあきらめることに…。

そんな中、ジガバチソウとエンシュウムヨウラン探検の場所で、見てのとおり花はやや終わりかけてはいるが。偶然出会ったのが写真だ。来年は今年より10日ぐらい前を目安に再度出かけてみようと考えている。

記・はしば



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