みかも山のキツネノカミソリ 栃木県栃木市 25/8/7 


夏まっさりの8月、キツネノカミソリという植物が花を咲かせ始めました。その風変わりな名前は橙の花色をきつね色、春から成長するスイセンのような葉をカミソリに例えたのが由来ともいわれます。場所は、春の訪れを告げるカタクリの群生地として多くの人が知る、栃木県栃木市の三毳(みかも)山。カタクリの群生ほどキツネノカミソリは広くは知られてはいませんが、管理事務所から歩いてもほど近い樹林帯斜面の林床です。

キツネノカミソリは日本固有種で、ヒガンバナ科に含まれます。科名のもとになっているヒガンバナは秋のお彼岸前後になると何もなかったような土手や田んぼの畔に突然しかも群生して咲き、あたりを赤く染めあげます。あでやかな花色とこの劇的な開花で多くの人に知られています。開花時期こそ違いますが、キツネノカミソリの開花もヒガンバナ同様に劇的です。これはヒガンバナ科植物特有の生活サイクルによるものかもしれません。キツネノカミソリの場合、年明けから葉を伸ばし始め初夏までに枯れて1度目の休眠、そして真夏に思い出したように花を咲かせたあとは葉を伸ばすまで何事もなかったように2度目の休眠をします。風変わりなこの生活サイクルは日本の野山ではとても特異でです。




なお、キツネノカミソリにはオオキツネノカミソリとムジナノカミソリの
2種の変種も知られています。オオキツネノカミソリは本州関東以西、四国、九州に分布し、花弁が反り返り、雄しべと雌しべが長く突き出ます。ムジナノカミソリは 九州の一部と対馬に分布し、韓国南西部にも分布することから氷河期の陸続きの時に渡ってきた植物とも考えられ、花の大きさはキツネノカミソリとオオキツネノカミソリとの中間という点で区別できます。

暑さの厳しい昨今ですが、日中の高温を避けた時間に真夏の花群生をたずねてみてはいかがでしょう。その際はヤブ蚊対策を絶対お忘れなく。


                       記・はしば



コメント